地球一周と被災地支援を通じて描く、地域のこれから

■震災直後 燃料不足の被災地で

「燃料ありませんか? 車の燃料が足りないんです…」大震災から数日が経った頃、どの避難所へ行っても返されたのが、この言葉だった。食料と水ももちろん必要に違いなかったけれど、次に切迫して必要とされていたのは車や発電機のための燃料だった。

避難所のほとんどが災害対策本部や沿岸から10km以上も離れている。真冬の寒さの中、体力が低下した体でそんな距離を歩けるはずもない。無線機器も流され、携帯も繋がらない。現場は現状把握もできずに混乱が続いていた。

山田周生(筆者):フォトジャーナリスト。地球を旅しながら世界の冒険レースや先住民などを撮影取材。2007年に廃油のみで地球を走る「バイオディーゼルアドベンチャー」設立。地球一周完走後、日本一周中に東北滞在中、大震災に遭遇。現在も被災地で支援活動を続ける。

そんな状況で人々は行方不明の家族を探すこともできなかった。「瓦礫の下にいる家族を探したい」と、ポリタンクをしょって、閉じたガソリンスタンドまで車の燃料を求めて数十キロ歩いてきた人もいた。遺体と対面できるリミットが迫るも、遺体安置所へ行って家族を探す燃料すらないのだ。「動けば何でもいい、とにかく燃料がほしいんだ」会う度に人々が訴えるその様子に、胸がぎゅっとしめつけられる思いだった。

僕の車は廃油からBDF(バイオディーゼル燃料)を作る精製機を荷台に積んでいるので、化石燃料に頼らない。僕らは機動力を活かして毎日被災地をかけずり回り、できる限りの支援を続けた。当然BDFを分ける用意もしていたけれど、出会う車や発電機はすべてガソリンエンジン。ディーゼルエンジンに使用できるBDFは分けることができず、何度悔しい思いをしたことか。もしも防災対策として地域にひとつでもディーゼル発電機と車、廃油とBDF利用のシステムがあったなら、もっとスムーズな緊急措置ができたはずだ。

■菜の花で循環型エネルギーのモデルビレッジを

人の生死を目の前にした極限状態で、今まで当たり前にあった食べ物や水のありがたみ、燃料や電気のありがたみを身をもって知ることとなった大震災。

震災直後の被災地を走るバイオディーゼルカー

僕は今まで廃油で地球を走り、世界の自然再生エネルギー事情などを見てきたけれど、この切迫した日々にふれて、より想いが明確になった。「地域で自立するエネルギー、循環型のエネルギーが絶対に必要なんだ」と。

あの3.11から1年8か月が経った。僕は被災地に拠点を作り、今も支援活動を続けている。とくに力を入れているのが、地元の人々と共に菜の花を植える活動だ。菜の花は地産地消エネルギーを象徴する花。そのナタネを被災地にまくことで、荒地の再生や心のケアはもちろん、エネルギー自給のきっかけ作りになればと思うのだ。そしてゆくゆくは地域に根付いた自立循環型エネルギーのモデルビレッジのようなものを、ここ東北から地元の方々と共に発信したい。そう考えている。

残念ながら人々の脳裏から震災の記憶が日々薄れている今日この頃。でもここからが本番、踏ん張り時だ。僕らは未来の子どもたちに、どんな地球を残せるのだろうか。大津波と原発事故という歴史に残る大惨事を経て直面している課題。それは被災地だろうと日本のどの地域だろうと違いはない。次世代へ手渡すバトンは、僕たちひとりひとりの手にかかっている。

【筆者】山田 周生 (YAMADA, Shusei)/バイオディーゼルアドベンチャー/あおぞら財団機関紙『りべら』2013年1月号掲載記事より/[J13042602J]

市民発電プロジェクトえど・そら1号機が発電開始

地域で市民主導による電力供給をめざして

2013年4月初め、東京・江戸川区の環境NPO「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ(足温ネット)」の市民発電プロジェクトによる太陽光発電所が発電を始めた。発電出力は10.52kW、発電所の名前は江戸川区の江戸(えど)、Solar(そら)から「えど・そら」と名づけられている。

日本では、2012年7月に再生可能エネルギーによって発電された電気をこれまでよりも高い価格で電力会社が買い取る制度が始まり、これまで採算がとれなかった再生可能エネルギーによる発電事業が一気に進む状況となっている。経済産業省資源エネルギー庁によると、新制度に基づく設備認定を受けた発電施設は合計736.8万kWに達し、原発7基分に相当する。

発電所の建設資金は440万円。足温ネットでは、会員や知人から500万円を借り入れ、売電収入で返済する計画を立てた。しかも、有利な買取価格で売電するため、1ヶ月で集めなければならなかった。一抹の不安はあったものの、大口出資者があったこともあり、目標金額を1ヶ月で集めきりメンバーを驚かせた。

足温ネットが市民発電プロジェクトを推進するのは、採算がとれるようになったことだけが理由ではない。東京電力・福島第一発電所の事故は、広範囲な放射能汚染と何万人もの避難者を生み出したが、これはエネルギー供給について電力会社や政府に任せ、一局集中による大規模発電所を建設してきた結果である。この状況に対して、市民が発電事業に参画することで、原発事故による放射能汚染や火力発電所による莫大なCO2排出を伴わない再生可能エネルギーを地域に増やしながら、現在のエネルギー供給システムの問題点を指摘することができると考えている。

発電開始後の東京電力による購入金額は、2013年4月5日から22日の18日間で827kwh、34,734円。月5万円として年60万円。8年あまりで返済できる計算だ。政府は、電力会社からしか買えなかった電気を電力会社以外から買うことができる電力自由化を数年後に行うことを決定したが自由化が実現したら、市民発電プロジェクトによる太陽光発電を地域住民に売ることも可能になる。市民がエネルギー供給を担うことができるのだ。東京都内では、NPOなどによる市民発電プロジェクトが相次いで設立され資金集め、発電設備の建設が進んでいる。多摩地域では、数億円を集め1,000kWの太陽光発電所を建設する多摩電力が設立された。

地域で市民主導による電力供給が実現すれば、原発や火力発電ではない再生可能エネルギーを選ぶことができる。市民がエネルギーを選び、決定できる時代に向けて、多様で安心できる社会を作っていきたい。

【筆者】山﨑 求博 (YAMAZAKI, Motohiro)/足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ/寄稿/[J13042601J]

動き出した小型家電リサイクル

2013年4月1日から新たに小型家電の回収が一部自治体でスタートした。

2013年4月1日から、準備のととのった自治体において小型家電リサイクルの回収が始まった。これは小型家電リサイクル法(正式名称:使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)によるもので、現在、リサイクルを行う認定事業者の審査が行われており、7月ごろには同法に基づいた小型家電リサイクルがが本格的にスタートする見通しだ。

浜松市天竜区役所に設置された小型家電の回収箱

この法律が制定された背景には、新興国の需要増大に伴う資源価格が高騰し、レアメタルなど資源が特定の国でしか産出されず、外交カードに使われる懸念があったようだ。これまで埋め立てられていた使用済小型電子機器等に含まれるアルミ、貴金属、レアメタルなどをリサイクルできるようにという資源安全保障論的な観点が重視されて、法制度化が進められた。

同法では対象品目を①消費者が通常家庭で使用する電気機械器具であって、②効率的な収集運搬が可能であり、③経済性の面における制約が著しくないものを、制度対象品目として政令で定める、としている。

これにより以下の28種類の家電が対象とされた(家電リサイクル法の対象となっているものは除外)。「小型家電」とはいえ、電気こたつやランニングマシン、マッサージ機などのかなり大型の家電も対象には入っている。

1 電話機、ファクシミリ装置その他の有線通信機械器具
2 携帯電話端末、PHS端末その他の無線通信機械器具
3 ラジオ受信機及びテレビジョン受信機
4 デジタルカメラ、ビデオカメラ、DVDレコーダーその他の映像用機械器具
5 デジタルオーディオプレーヤー、ステレオセットその他の電気音響機械器具
6 パーソナルコンピュータ
7 磁気ディスク装置、光ディスク装置その他の記憶装置
8 プリンターその他の印刷装置
9 ディスプレイその他の表示装置
10 電子書籍端末
11 電動ミシン
12 電気グラインダー、電気ドリルその他の電動工具
13 電子式卓上計算機その他の事務用電気機械器具
14 ヘルスメーターその他の計量用又は測定用の電気機械器具
15 電動式吸入器その他の医療用電気機械器具
16 フィルムカメラ
17 ジャー炊飯器、電子レンジその他の台所用電気機械器具
18 扇風機、電気除湿機その他の空調用電気機械器具
19 電気アイロン、電気掃除機その他の衣料用又は衛生用の電気機械器具
20 電気こたつ、電気ストーブその他の保温用電気機械器具
21 ヘアドライヤー、電気かみそりその他の理容用電気機械器具
22 電気マッサージ器
23 ランニングマシンその他の運動用電気機械器具
24 電気芝刈機その他の園芸用電気機械器具
25 蛍光灯器具その他の電気照明器具
26 電子時計及び電気時計
27 電子楽器及び電気楽器
28 ゲーム機その他の電子玩具及び電動式玩具

既存の家電リサイクル法との大きな違いは、回収時にボックス回収、ステーション回収、ピックアップ回収など自治体が大きく関わり、排出時に市民がリサイクル費用を支払わなくてもいいものもあるということだ。

回収方法や回収対象品目は自治体が独自に選択できるため、政令で定められたすべての家電が対象とはならない。たとえば、浜松市の場合、回収は市の施設に設置された回収ボックスのみで、縦15㎝未満、横60cm未満、奥行30㎝未満のサイズの小型家電と限定されている。PCリサイクルマークが付与されていない(リサイクル費用を購入時に支払っていないPC)2003年10月以前のPCでも、小型家電リサイクル法でPCが対象とされたため、サイズを越えなければ無料で排出できることになる。

ただ、PCを対象とする自治体はそれほど多くないようだ。また、回収にあたってリサイクル費用を自治体が独自に設定するケースもあるため、すべて無料で排出できるわけではない。

2006年の家電リサイクル法の改正議論の際、e-waste問題解決の観点から、当時、すべての家電をリサイクル対象品目に加えるべきだという政策提言をした。今回の小型家電リサイクル法が動き出すことは、法制定の理由がどうであれ、また不完全であれ一歩前進したという点は大きく評価したい。

【筆者】廣瀬 稔也(HIROSE, Toshiya)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所/寄稿/[J13041901J]

御堂筋サイクルピクニック――御堂筋を10,000人で走りたい!

歩行者も自転車も安心して通行できる環境づくりを、自転車ユーザー側から求めるためにはじまったのが「御堂筋サイクルピクニック」。車道走行によるアピールを通じて、賛同者を集め、10,000人で御堂筋を走ることをめざしています。

http://cycleweb.jp/cyclepicnic/

http://www.facebook.com/cyclepicnic

●開催経過:2011年10月22日(第1回)/2012年4月7日(第2回)/2012年9月22日(第3回)
●会場:中之島公園/御堂筋→長堀通→堺筋をアピール走行
●主催:サイクルピクニック・クラブ/事務局:あおぞら財団

御堂筋サイクルピクニック開催にあたって

■初めて手にする乗り物は自転車
御堂筋に自転車専用走行空間の設置を訴えた御堂筋サイクルピクニックも今年で2年目を迎えた。昨年は100台程度の走行であったが、今年は倍の200台以上が出走した。車種も色も参加者も多彩で、珍しい自転車を見つけては子供も大人も大喜びしていた。
このイベントを始めたきっかけは、日本では自転車の保有先進国でありながら、走行環境は劣悪で後進国であり、自転車が乗り物としての権利を獲得していないという怒りからである。特に子供たちにとっては、初めて手にする乗り物は自転車であり、子供たちの成長発達を助けるためにも、安全な走行環境を整備する必要があるとの思いからであった。

アピール走行の出発を待つ参加者たち

■大阪を活気ある街に
自動車には車道があり、歩行者には歩道があるように、自転車には自転車道が必要というのは当たり前の主張であるが、どういう訳かわが国では、この主張がなかなか受け入れられなかった。しかし、最近になって、交通管理者も道路管理者も動き出し、自転車専用の走行空間の確保に光が見えてきた。御堂筋は大阪を象徴する道路であり、ここに自転車専用の走行空間を設置することは、大阪が人と環境にやさしいことを具体的に示すシンボルとなる。また、自転車を活用した道づくり、まちづくりは、まちの形態を一変させるインパクトをもたらし、大阪を活気ある街に変える効果も期待できる。

青色アイテムをつけて御堂筋を自転車で走行

■道づくりと人づくりの両輪で
ただ、現状では、自転車利用者が交通ルールを順守しているかというと問題があり、マナーの向上も重要である。これは人づくりの視点であり、御堂筋サイクルピクニックでは自転車の適正利用の啓発にも努めている。自転車の道づくりと利用者の人づくりを両輪として御堂筋サイクルピクニックの取り組みを進めることが肝要である。
御堂筋サイクルピクニックが市民に定着し、大阪は、自転車が安全に快適に、そして楽しく利用できる、日本一のまちだと自慢できるようになることを願っている。

本イベントの第4回目は2013年4月14日(日)に開催されます。
開催概要はコチラ

【筆者】新田 保次 (NITTA, Yasutsugu)/自転車文化タウンづくりの会代表/大阪大学名誉教授/あおぞら財団理事/あおぞら財団機関紙『りべら』2013年1月号掲載記事より/[J13041201J]

エネルギー政策選択と環境アセスメントの役割

自然エネルギーを利用した地域おこし

NPO地域づくり工房(長野県大町市)は、くるくるエコプロジェクト(ミニ水力発電の普及)と菜の花エコプロジェクト(菜の花オイルとバイオ軽油の普及)を両輪に活動を展開し、これまでに4つのタイプのミニ水力発電所の設置・運営を経験し、バイオ軽油は年2万リットルを生産しています。加えて、天然冷蔵庫「風穴小屋」を復元・活用する活動を含め、自然エネルギーを利用した個性的な取り組みが評価され、全国各地からのエコツアーを受け入れてきました。

コヲミ平ミニ水力発電所

こうした地産地消型の自然エネルギーは、位置的・時間的制約が大きく、不効率で採算性に乏しいものです。それだけに、経済効率優先の社会の中では、かえって私たちの活動に発信力が与えられたのだと思います。それぞれに技術的・制度的な課題が山のようにあり、挫折を繰り返しながらの10年間でした 。

建設現場でも使われるバイオ軽油

■エネルギー政策選択の複雑さ

さて、福島原発事故は、エネルギー政策の大転換をもたらしました。「2030年代に原発ゼロ」をめざす政府のシナリオでは、火力・水力を増強ないし維持させつつ、自然エネルギーを含む再生可能エネルギーを飛躍的に成長させることで、エネルギーの安定供給を確保する計画です。

しかし、脱原発のためであれば、健康被害や地球温暖化の主役であった火力発電の増強、自然破壊の象徴である巨大ダムの維持、といった選択は容認されるべきなのでしょうか。自然エネルギーも、急激かつ大規模に推進された場合には、むしろ環境破壊や浪費につながることが懸念されます。

ヨーロッパでは、チェルノブイリ事故を教訓に、1980年代からエネルギー政策の転換を図る国々が見られました。しかし日本は、黒船や占領軍と同様に、災害という外発的な原因により国家の土台が揺らぎ、混迷のさなかにあります。確実なことは「原発ゼロ」を決めた政府が「近いうちに」崩壊することだけです。

■地域に根ざした市民らしい政策

日本のエネルギー事情は、消費の浪費的あり方とその大都市圏一極集中、そして生産の植民地的あり方に特徴があります。その根本を変えない場合は、せっかく地域で掘り起こされた自然エネルギーも効率化が進む送配電線網への接続を通じて、中央へ吸い上げられることになります。本来、食料の自給をめざして再生されるべき農地にも、太陽光パネルが敷き詰められてしまうのでしょう。それは私たちがめざす国土の将来像なのでしょうか。

エネルギーは社会のある姿を実現するための手段です。どのような社会をめざすのかという根本的な議論が本来は必要です。そうした議論の担い手として、既成の枠組みにとらわれない市民活動が、今こそ本領を発揮すべきです。

市民の政策が、独自性と説得力を持つためには、参加型調査学習活動の裏付けが必要です。広範な市民の参加を組織しながら進める調査により、地域の中から情報を引き出し、それに基づく対話と学習により、提言や実践のための計画をまとめていく作業です。エネルギー問題もその現場は地域社会にあります。自然エネルギーは、地域性が強いので、このことは特に重要です。

■市民から広げる政策アセス

さて、エネルギー政策のような根幹的で、長期に安定した方針が必要な分野でさえ、政治の混迷が影響して、展望を見出すことが難しくなっています。好き嫌いによる多数決ではない、論理的な合意の積み重ねが重要です。

そのためにも、アセス(環境影響評価)という科学性と民主性を二本柱とするプロセスが、こうした政策選択においても導入される必要があるのです。

残念ながら、日本では政策段階でのアセスは実現しておらず、昨年の法改正でようやく計画段階でのアセスの要素が一部取り入れられたという状況です。

エネルギー政策選択をテーマとしたアセスの実現が、多くの市民活動によって共有される獲得目標となり、その実施方法についても市民活動のイニシアティブにより活発に議論されることを期待します。

また、政府や自治体による政策アセスの実施を待つのではなく、市民活動の側も参加型調査学習活動とそれにもとづくワークショップ(作業が伴う会議の方法)によって、この分野での「市民からのアセス」を実践し、自分たちの政策を世論の中に広げていく努力が求められています。

【筆者】傘木 宏夫 (KASAGI, Hiroo)/NPO地域づくり工房/あおぞら財団機関紙『りべら』2013年1月号掲載記事より/[J13040501J]

逆行する韓国政府、気候変動問題を無視した第6回電力供給基本計画

2013年2月22日、韓国・知識経済部が、第6回電力基本計画(以下、電力計画)を発表した。

電力計画は、知識経済部が2年毎に策定するもので、今後15年間にわたる電力需要の展望、需要の管理目標、(電力の)適切な予備率及び発電所の建設計画などが含まれている。今回発表された計画は、過去5回目よりも多い電力需要増加率の前提を、発電設備の増加は不可欠だと強調している。

具体的には2027年までに、石炭(1074万KW)、LNG(506万KW)など火力発電1580万KW、コージェネレーションなどを含む総合エネルギー371万KW、太陽光・風力など自然エネルギー456万KWなど、関連施設の増設が盛り込まれている。原子力発電については、判断が保留され8月に改めて決める見込みになっている。

新しい計画で議論になっている一つが、火力発電所の増設である。電力計画によると、2027年までに、新たに12基の石炭火力発電所を増設することで、電力の安定性を保つとされている。温室効果ガスの増加への懸念を無視し、電力の需要だけを優先する政府の主張には懸念が広がっている。

この計画が実行すれば、韓国政府が打ち出した温室効果ガスの削減目標(2020年までにBAU30%削減)を10%上回る可能性があると、専門家たちは指摘している。あんまりにも強行な発表に、環境部が知識経済部を批判する異例なことも起きた。

今回の電力計画について、環境団体からは、「韓国のエネルギー全体消費の70%を占めるエネルギー効率が悪い産業の付加価値は30%も足りない、このような企業に韓国の未来を任せてはいけない」「FIT制度からRPSに『格下げ』したにも関わらず、たったの一年間で、RPS制度すら着実に実行できない政府は無責任すぎ」るという批判があった。

また、パク・クンヘ政権は政府部署、学会、市民社会の強い反対を無視しては行けない、失敗に間違いない今回の電力計画を改めて全面的に検討し、国内では大手企業の利益ではなく、国民の健康を配慮する政府に、海外では温室効果ガスに寄与する国へとシフトすることを、環境団体などは強く求めている。

【筆者】朴 梅花 (PIAO, Meihua)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[K13032901J]

グリーン・サプライチェーン円卓会議を北京で開催

「グリーン・サプライチェーン構築のためのNGOと企業の役割」と題し、日中韓のNGOや企業が同じテーブルについて議論を行った。

2013年2月27日、中国・北京においてグリーン・サプライチェーン円卓会議/第6回東アジア環境市民会議(主催:東アジア環境情報発伝所、環友科学技術研究センター、共催:緑色選択連盟(GCA))が開催された。この円卓会議の目的は、サプライチェーンのグリーン化に取り組むNGO同士の交流を推進すると同時に、実際に中国にサプライチェーンを持つ企業を招き、率直な議論を展開することであった。当日は、ふだん接することの少ない、異なるセクターの当事者たちの間に活発な意見交換が実現した。

中国における動向を報告するIPEの馬軍さん

会議の冒頭では、GCAの構成メンバーである環友科学技術研究センターの張テキさんから、GCAの活動について説明が行われた。2007年から、地方のNGOメンバーの協力のもとに汚染源のデータベースを構築し、いくつかの業界や企業にターゲットを絞って、サプライチェーンの環境負荷改善を働きかけてきた経緯が概要的に示された。

次に、サステナビリティ・日本フォーラム代表理事の後藤敏彦さんから、サプライチェーンのグリーン化に関する国際的な動向と、日本の経験について具体的な紹介がされた。後藤さんによると、世界的な環境意識の高まりにともない、日本でも様々な環境認証制度や法規制が官民ともに導入されるようになり、環境・CSR報告書という形で環境経営についての情報公開も進んできたという。環境問題が人権問題の範疇に含められるようになり、サプライチェーン・マネジメントに対する認識も高まっている。しかし認識が高まるとともに、サプライチェーンのグリーン化における技術的、経済的な困難もまたはっきりしてきたという。この困難を超えるためには、円滑なコミュニケーションに支えられた多セクターのパートナーシップによる取り組みが必要である。

続けて、自然大学の馮永峰さんから、独自のデータベース、メディアの活用、様々なパートナーとの協働といったGCAの手法の特徴について整理された。

GCAの国際パートナーでもある東アジア環境情報発伝所からは、これまでGCAと日本企業の橋渡しをしてきた経験について発表が行われた。東アジア環境情報発伝所代表の廣瀬稔也は、当初GCAと日本企業の間にうまくコミュニケーションが取れていなかった状況を、GCAレポートを和訳して発信することや、この会議のような対話の場を設定することで、改善しようとする取り組みについて紹介した。

午後の部では、GCAの呼びかけ人であるIPEの馬軍さんが「環境挑戦と緑色選択」と題して講演を行なった。情報を使った働きかけによりアップル社などのIT企業のサプライチェーン管理を大きく前進させた実績や、これからの活動の課題について、当事者の視点から非常に具体的な紹介と提案がされた。馬軍さんによると、日本などの川上企業側の認識は改善されてきているものの、中国に広がる深刻な環境汚染に対して実際の行動を起こしているとは、必ずしも言えないという。手法をさらに洗練しながら、政府、企業、市民の協力を集めていくことの重要性が強調された。

また、この会議では、中国にサプライチェーンを持つ日本企業として、パナソニックとキヤノンという2つの企業の担当者が招待に応じて参加した。

パナソニック中国環境推進部の趙向東さんは、パナソニックの環境経営の理念を紹介しながら、過去に実際にGCAからサプライヤーによる汚染を指摘されたときの対応や、これからの取り組みについて説明した。

また、GCAの企業ランキングで下位に位置づけられたキヤノンからは「キヤノンの環境管理戦略」と題して、自社の環境対策について説明が行なわれた。環境製品認証推進部の仁科さんは、これまでGCAとうまくコミュニケーションが取れてこられなかったとして、環境認証や、サプライチェーン管理の仕組みについて、中国のNGOに向けて示した。

2つの企業の間に、情報公開やGCAとの協力について、どこまでどのような方法で進めていくかについて違いはあったものの、可能な範囲でGCAと協力していくことが企業の利益にもなるという姿勢が示されたと言えるだろう。

最後の総合討論では、参加した日本企業に対して会場から、第三者監査の可能性や、実際に今後汚染が発覚した際の対応について質問が相次いだ。それに対して企業側からは、第三者監査を受け入れるには解決すべき課題がまだ多いが、サプライヤーでの汚染発生を独自にチェックする仕組みの導入もしくは導入に向けた検討が始まっているということが紹介された。

また、韓国光州環境運動連合事務局長のイ・ギョンヒさんが韓国企業の話題に触れながら指摘したように、参加者の間で、国やセクターの壁を越えたサプライチェーンの管理と監視を続けていくことの重要性が重ねて確認された。

日本大使館の協力なども得ながら実現したこの会議で作られた、日中韓3カ国のNGOや企業の間のコミュニケーションが今後さらに発展し、中国の環境汚染問題の解決を支えていくことが期待される。

(参考URL)
グリーン・チョイス・アライアンスについて(東アジア環境情報発伝所) 

【筆者】石井 晋平 (ISHII, Shimpei)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[J13030801J]

「雲南ぶくぶく応援団・市民エネルギー研修 中国農村エネルギーの秘密をさぐる5日間」を終えて

中国農村部でのバイオガス・環境教育の状況を探りに現地へ

2012年11月18日から22日の4泊5日で、中国雲南省麗江市へ赴いた。

雲南省は中国の西南に位置し、ミャンマーとの国境がある少数民族の多い地である。漢民族の文化だけでなく、チベット文化の影響もあり、異国情緒を感じる中国国内でも有名な観光地となっている。しかし昨今、観光客の増加や開発により、豊かな自然環境が破壊されているという。

その地で、自ら行動する力を身につけるべく、環境教育が行われている。環境NGO雲南エコネットワークでは学校での環境教育だけでなく、交通の不便な山奥の集落への出前授業も行っている。今回の旅では、雲南エコネットワークの拠点である「緑色家園」を訪問し、活動の紹介から周辺の農村集落を見学、現在のバイオガスプラントの普及状態や使用状態などを見学した。見学後の旅行参加者と現地団体との意見交換は、活発なものとなり、参加者の環境への高い意識が伺えた。

また後日、小学校での環境教育を見学をした。小学校では「母なる地球を守るためには」という題目で授業が行われ、地域的な環境問題だけでなく、地球環境問題が扱われていた。昨年度も、同じ小学校での環境教育の授業を見学したが、教師によって授業の充実さに差があったと感じた。

現在、中国全体で廃棄物問題が浮き彫りになり、現在は政府もモデル都市をつくり、対策にのりだしているが、雲南省などの特に沿岸部から離れた内陸の農村部ではいまだ処理方法が居住地区周辺での野焼きとなっている。廃棄物の種類も昔と異なり、プラスチックなどの生分解質でないものが多く、そのままポイ捨てされている様子であった。

日本ではダイオキシンの発生を防ぐために、学校での焼却処理は禁止されたが、この地では児童が学校で廃棄物を燃やし、処理するという手法がとられていた。この問題に関し、日本で活動をしている参加者などの意見を受け、雲南エコネットワークの陳永松氏が玉龍県の教育部に提案するという。

最終日の振り返りでは、今後はお互いの情報交換を行い、活動を一層活発化させるということで話し合いが行われた。

現在は日中関係が著しく悪化しているが、市民交流を行い、お互いのことをよく知る機会が非常に重要であることを今回の旅で改めて認識した。

【筆者】蓮見 瑠衣 (HASUMI, Rui)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[J13030802J]

自治体などにおける使い捨て容器に関する調査

自治体の建物における使い捨てコップの使用状況と回収箱の設置状況を市民団体が調査した

 資源循環社会連帯は、2012年8月17日から9月3日の間、ソウル特別市及び広域市の市役所と区役所77カ所を対象に、役所ビルにおける使い捨て容器の使用状況及び紙コップの回収箱の整備について調査を行った。

◎調査項目1:使い捨てコップの使用状況

訪問者に使い捨てコップを提供する自治体が47.6%(40カ所)で比較的に高い割合を見せた。さらにその中で内部の会議または打合せなどにも使い捨てコップを使用している自治体が61.0%もあり、過半数を超える自治体で使い捨てコップを使用していることが分かった。

◎調査項目2:使い捨てコップの回収箱の設置

事務所(または廊下)に使い捨てコップの回収箱を設置している自治体が23カ所で全体の29.8%を占めた。また区民・市民ホールに紙コップ式の自動販売機が置かれている58の役所の中で回収箱を設置しているのが25カ所(43.1%)だけで、使い捨てコップの回収に積極的ではない自治体が多いことがわかる。

今回の調査で大田(テジョン)広域市の6つの自治体では、訪問客に向けても、内部においてもリユースカップを使用するだけではなく、役所建物内にも使い捨てコップの回収箱を設置することで、最も優秀な自治体となった。一方、ソウル特別市の6つ市・区役所では、使い捨てコップの回収箱の設置が見当たらなく、回収にさらに積極的に取り組む必要があると思われる。

韓国の環境部は2009年、公共施設における使い捨て容器の削減ガイドラインを作成・発表し、公共施設におけるマイカップ及びリユース容器の使用を促すと同時に、使い捨てコップの積極的な回収を呼び掛けている。

ただ、実際には職員自身としてはマイカップまたはリユースカップを使っているが、一部自治体では訪問客または会議参加者向けには依然として使い捨て容器を提供したり、または使い捨て容器の回収箱を設置しないことで紙コップの回収を行わないことが分かった。各役者は公共機関として、使い捨て容器の抑制にリード的な役割を果たさなければいけないので、今後さらなる努力を求めたい。

【筆者】朴 梅花 (PIAO, Meihua)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/寄稿/[K13021501J]

生ごみを回収しない業者、生ごみ放置に「寄与」した自治体

直ちに生ごみ回収を実施し、市民の基本権利である清潔な環境を守るように

2013年1月7日からソウル市内の一部地域で、生ごみの回収及び処理を請け負っている業者(以下、処理業者)が生ごみ処理費用について60%以上の値上げを要求したが、自治体との交渉がうまく行かないことを理由に、家庭から排出される生ごみの回収作業を拒否し、道路と住宅地に生ごみの山が放置されたままになっている。これで一番困っているのはもちろん住民たちである。

処理業者の言い分としては、2013年から生ごみ処理施設からの排水の海洋投棄が禁止され、陸上での処理は値上げなしではできないとされる。しかし、ソウル市側は処理費用を60%も上げることは無理だと、交渉が難航している。現在、ソウル市の生ごみ処理費用は8万ウォン/tであるが、処理業者は12万ウォンにまで上げることを希望している。

自治体側と処理業者の交渉が進まないことで、一部自治体では処理業者が数日間も生ごみの回収を拒否し、住宅街と道路などに生ごみの山ができ、市民はその悪臭と害虫発生などの被害を受けている。

海洋投棄禁止はすでに2008年海洋環境保全法により5年前に告知されている。にもかかわらず、安易な判断とまったく対策をとっていないことで、生ごみ大混乱を引き起こした自治体と処理業者には大きな怒りを感じるしかない。5年間に海洋投棄禁止に備えインフラ整備などを進めるには十分だったのだろうが。

資源循環社会連帯は、処理業者が放置した生ごみの回収を直ちに行い、市民に快適且つ安全な環境を提供することを求めている。自治体との交渉に市民を「人質」にしている処理業者は、無責任で利己的だとしか考えられない。20年間、韓国は生ごみ資源化体制の構築に取り組み、市民側も分別排出に積極的に協力してくれた。他の先進国からも韓国の生ごみ処理体制及び関連技術は評価されている。これは市民の積極的な参加があったこその成果であるといえる。

処理業者が一日も早く生ごみの回収を行わないと、長い時間をかけて構築された生ごみ分別排出のメカニズムと資源化インフラとの関係が、たった数日間で崩れてしまうかも知れない。

また政府と自治体は処理業者が要求する処理費用の値上げについて、専門家、市民団体及び処理業者による委員会を設立し、適切なコスト算定などにより生ごみ処理費用の実際のコストを明確にすることが必要だろう。

最後に資源循環社会連帯は以下のことを呼びかける。
その一、処理業者は直ちに生ごみの回収を行うこと。
その二、自治体は関連委員会を成立し、生ごみの適切なコスト算定を行うこと。
その三、自治体と処理業者は生ごみ理過程による排水の削減を求めることで、資源循環社会へのシフトしていくこと。

【筆者】朴 梅花 (PIAO, Meihua)/NPO法人 東アジア環境情報発伝所(East Asia Environmental Information Center)/資源循環社会連帯HPより/[K13012501J]